◎第344回 土佐の日曜市とひろめ市場(平成30年2月9日)

庶 民 の 生 活 に 根 ざ し

人と人が触れ合う場所に

 今年の冬は例年に比べて寒さを感じている南国土佐だが、それでも日本海側の豪雪地帯に比べれば幸せな地域である。もちろん、近畿以西で一番高い山がる四国山脈地域では、寒さと雪に関しては引けを取らない。
 この冬の季節でも、毎週日曜日に「日曜市」が開催される。高知県全土から生産者が地元の産物を持ち寄り、高知城の大手門からまっすぐ東へ伸びる大手筋には長さ1.3キロメートルにおよそ420店のテントが並ぶ。クスノキとフェニックスが揺れる南国情緒満点のメインストリートを、片側2車線占拠して開催されている。終日路上で開かれる市としては日本一の規模を誇る。この日曜市が誕生したのは江戸期。元禄3年(1690年)、土佐のお殿様が定めた「市立」に始まり、庶民の生活市として300年以上もの歴史を刻んでいる。
 私も、日曜日に特に用がない場合は、この日曜市に出かけるのを楽しみにしている。出店者には決められた店番と生産者名が描かれた看板があり、東から一丁目~七丁目まで、道の両側は南北で示される。したがって、出店者はそれぞれ、いつも決まった場所で店を構えている。販売されている野菜や果物等はいつも旬のものが並ぶので、高知県の産品を首都圏に販売している私には毎回勉強になり、いつも何かの発見がある。
 この日曜市に出展されている20件ほどは顔なじみで、毎回立ち寄り、情報交換をしている。多くの店は年配の女性が販売しているが、最近は若い方々も増えてきた。日曜市のみで販売している方も多く、その方々にとっては一週間の大事な現金収入の場でもある。
 私が立ち寄る店には、若い夫婦でご主人の実家でサツマイモ、生姜などを販売している方、土佐湾を展望できる果樹園でポンカンを収穫し、収穫後にはジャムやジュースに加工して一年中販売できる商品を持っている方、中山間地区で文旦やポンカンを有機栽培して、加工品も販売している方、市内から近いところでエディブル・フラワーを栽培して、各種加工品を販売している仲のいい夫婦、身体障がい者を雇用して果物の加工品やケーキを製造販売しているご夫妻、近海(浦戸湾)で各種カニや魚を取り、私も大好きな酒盗を作っている元気なおばさん、地元の生姜を使ったドリンクを一杯120円で飲ませてくれるご夫婦など、多くの方々との触れ合いが楽しい時となる。
 さらに多くの県外の方々も利用する「ひろめ市場」がお城の近くにある。日曜市を一通り歩いた後は必ず立ち寄る場所だ。
 ここは、高知の郷土料理から世界の味まで堪能できる飲食店、鮮度が命の鮮魚店や精肉店、ユニークな雑貨や洋品店など、60店以上のお店が集まった商業施設で、午前中から多くの方で賑わっている。最近は高知港に大型客船が数多く入港するので、船が入ると多くの外国人で賑わい、韓国語、中国語、広東語が飛び交う。
 ひろめ市場は、ほとんどの飲食店には専用のテーブルがなく、いたるところに配置されたテーブル(客席数500)に、それぞれのお店で買ってきた料理を持ち寄って食べるスタイルだ。食器は、専門のスタッフがすべて回収してくれる。
 県外からも、ここを訪れることを楽しみに来る方も多く、一人で座って飲んでいると、色々な出会いがある。
 先日も、東京から郷里を尋ねられたご家族が隣に座られ、話を始めると、ご主人には1年ほど前に仕事でお会いしていた方だと気づいた。
 高知はいたるところで、人と人が触れ合うことができる場が多いと感じている。多分、触れ合うことの大切さを感じているのが、この土地の風土なのだろうか。

2018年02月09日