◎第345回 土佐三原村どぶろく特区(平成30年2月23日)

日 本 の 原 風 景 が そ こ に

人々の暮らしぶりに感銘

 土佐は自然豊かで、のんびり過ごせるところが多い。先日、土佐の各地を回って、地元の方々と交流しながら、暮らしや地元経済の活性化などに関して発表、懇談する会に誘われ、初めて三原村を訪問することができた。
 三原村は東西に広がる高知の中でも、足摺岬に近く、高知市内からでも車で西に3時間ほどかかる位置にある。三原村で暮らそう!とうたっているパンフには日本の原風景があり、自然とともに生きていて、確かに遠くて不便だけれど、村の住民たちは人と人とのつながりを大切にし、自然に逆らわず、旬の食材を使い、手間ひまかけて昔ながらの「食」の文化や日常の営みなどを守って暮らしている。以前、どこにでもあった日本の原風景がここにある。
 周囲を山々に囲まれた標高120メートルに広がる山村は、美しい山々から湧き出る清水に育つ美味しいお米がとれる。高知県でも古くから、うまい米どころとして有名だ。大地の恵みであるお米を食べ、お酒を造り、祭りや祝事に飲んでいた。
 戦後、酒造(どぶろく)は製造禁止となったが、60年が経って村は「どぶろく特区」の許可を得て伝統のその味を復活させている。自然発酵で一つひとつが手作業により、じっくりと丹精込めて造られた稲作農家の濁酒は、真心あふれる味わいが楽しめる。
 今回の会が開催された場所は三原村農業構造改善センターで、ここには三原村集落活動センターもあり、食堂や売店、交流の場所等が完備されている。夕刻に予定していた学習・交流会が終了すると、地元の子供たちの踊りも披露され、その後間もなく、地元の方々が用意してくれた隣室の宴会場にたくさんの料理が持ち込まれ、村長も参加されて和やかな懇親パーテーが開始された。
 近隣、宿毛市や四万十市などからも関係者が集まり、一通りのあいさつが終わると、思い思いにグラスに飲み物を注ぎ乾杯。既に濁酒が7種類持ち込まれていて、私も早々と濁酒の飲み比べを始めた。
 米農家7軒のおかみさんたちが真心込めて手作りした濁酒は、農家食堂青空屋の「元代」、農家民宿風車の「風喜」、農家民宿森本の「嫁っこ桂」、農家民宿NOKOの「清流」、農家食堂つのの「川平郷」、農家民宿今ちゃんの「椿姫の伝説」、農家民宿くろうさぎの「こぼれ雪」。飲み比べるほどに酔い、しまいにはどれを呑んでも美味しく、味比べできなくなっていた。
 宴会が終わりになると、風車の宿のおかみさんが迎えに来てくれて宿に案内してくれた。どうやら、今夜の食事も濁酒も、この7件の女将さんたちが用意してくれていたらしい。風車には仲間3人が通され、しばらくの間、囲炉を囲んで三原村の空気と夜を味わった。やはり、宿には濁酒が用意されていた。
 翌朝も宿から朝食場所まで車で移動して、心のこもった朝ご飯を頂いた。味噌汁も独特の味わいで、お代わりもいただいた。1泊2日の三原村の滞在中は、地元の方々の暖かい心優しい人情に触れ、日本の原風景の中での人々の暮らしぶりに感銘を受け、いつまでも、この豊な触れ合いは心に残ると感じた。旅の楽しさや価値は、人と人との触れ合いにあると、今さらのように噛み締めることになった。

2018年02月23日