◎第359回 養鰻(ようまん)(平成30年9月28日)

日本のノウハウ

インドネシアに伝達する橋渡しに

 大学の先輩で、長くインドネシアでゼネコンの社長をされ、インドネシアに知人が多く、その後も独自の才覚で多くのビジネスを手がけられているM先輩から、養鰻に関して相談を受けた。
 現在、日本の鰻も稚魚が取れなくなり、鰻のかば焼きは高値止まりで、なかなか生活者には手が届かなくなってきている。調べてみると、最近の鰻の出荷量は鹿児島県、愛知県、宮崎県、静岡県が多く、だいぶ差が開いて、高知県、徳島県、三重県と続く。輸入先を見ると中国が圧倒的に多く、その他では台湾が挙げられる。
 日本で養鰻業を営むには毎年申請が必要で、許可制になっているとのこと。高知県には養鰻業者として19社ほどが登録されているようだ。養鰻業者は高知県淡水養殖漁業協同組合を組織していて、情報交換等を行っているという。
 私は、M先輩から話があった時に、これは面白い話だと感じ、高知県の水産の担当者とお会いしたりして情報を集めはじめた。その中で、地元高知では清流四万十川流域の有力な養鰻業者を紹介いただき、先日、訪問してきた。このS社のO社長は業界の代表的なお立場でもあり、素人の私に丁寧にご説明くださった。
 まず初めに、インドネシアからの依頼で「日本の養鰻のノウハウを教えて欲し、指導に来てほしい」という要望があることを伝えると、O社長は、7年前にご自分でインドネシアの養鰻場の状況を視察した経験から、あまり勧めないとのこと。
 理由は、インドネシアの養鰻池には塩分が強いこと、水が真っ黒で汚く、ホルマリンなどを使用していたという状況から、現地の生産者の意識は変わらないだろうということだった。また、日本並みに水質や十分な環境を整えるには多額の費用が掛かるため、そこまでは、整備しないだろうとのこと。
その後現場を見せていただが、それは素晴らしい設備で圧倒された。設備に1億円、運転資金に1億円が必要とのこと。特に私が感心したのは病気対策だった。
 生き物も、野菜や果物と同じで、色々な原因で病気を心配しなければならない。ウイルスや害虫対策には水温を1週間ほどで34℃まで上げること、腸の病原菌には餌に薬をまぜることーなどが必要であり、実際には管理者が、うなぎの生態を見て何が原因なのか判断できなければならないと。
実際に見せていただいた素晴らしいクリーンな施設でも起こりうるということなので、インドネシアでそこまで管理できるか、施設も含めそう簡単ではないと時価した。
 その辺の事情を簡単にM先輩に報告したが、最近の現地での状況は、7年前に比べれば大きく進歩しているとのこと。しかし養鰻業者のO氏によれば、インドネシアの責任者が少なくとも1年来日して研修して欲しいとのことだった。
 私としては、M先輩からの話をそのままにしたくないので、何とかして、まずは責任者が日本へ短期に出張されて、文化的な違いを含め、日本の養鰻の状況を確認して欲しいと感じている。

 

2018年10月13日