◎第378回 輪抜けさま(令和元年7月12日)

2つの案に取り組む

盛り上げたい伝統行事

 両親の郷里、高知に住み始めて3年程ほどになるが、知人に誘われ、今年初めて知ったのが“輪抜けさま”の行事。正式には、「夏越(なごし)の祓(はらい)」とか、「水無月の祓」ともいわれ、藩政時代から続く伝統行事だそうで、緑の茅(ちがや)の輪を抜け、けがれを祓い、緑の生気を得て暑い夏を健やかにと祈る行事のようだ。
 茅(ちがや)の輪は、神社の氏子さんを中心に作られるとのがほとんどとのこと。きっちりと細く巻いてあるところ、茅をざっくりと巻いてあるところ色々で、大きなところで、直径4.85メートルもの大きな緑の茅の輪の神社もあるそうだ。訪れた人は、ぐるりぐるりと左、右、左と「8」の字を描きながら、夏の匂いのする青い茅の輪をくぐり、無病息災を祈る。
 「輪抜けさま」が終われば土佐路は夏本番に突入する時期だが、今年はなぜか梅雨に突入し、雨の中のお祭りになった。高知市から、東へ約20キロ、土佐龍馬空港の東側から土佐湾に流れ込む一級河川、物部川の川沿いに広がる香美市の中心、土佐山田町に住んでいる私のところから約10キロ遡る香北町に、6月30日に開催された「輪抜けさま」の会場、「大川上美良布神社」がある。
 この神社は社殿の規模も大きく、木割も堂々として落ち着きを感じさせ、屋根は幕末の造りにしては美しく優美だ。伝統ある立派な神社だが、この地域も人口減少、高齢化が進んでいて、年間を通しての多くの伝統行事も、それを継続するのが大変だという。
今回誘われたのも、ぎりぎりの戦力で祭りを維持している状況だったため、神社の関係者から協力要請があったのが現状。2週間ほど前の打ち合わせ会に参加したが、参加者は高齢者が多く、まとまりのない打ち合わせだった。
およその状況を推察しながら、私からは2つほど提案させてもらった。1つは、アメリカに40年余り生活していた東京・浅草生まれのK氏による、子供たちに英語を親しんでもらう「英語で遊ぼう」のイベントで、もう1つは、7,8店の屋台が計画されていたので、鉄板を持ち込んで「焼きそば」を作ること。2の案は承認され取り組むことになった。
 開催当日は、前日からかなりの雨降りの天候が予測されたが、雨天決行ということで準備して、早めに境内へ向かった。茅の立派な輪とお客様用のテントは既に用意されていたが、非常に激しい雨が降っていたために、全体のレイアウトの変更を余儀なくされ、5,6人の年配者による実行委員は境内で雨を見ながら考えあぐねていた。
 しばらく境内の雰囲気を味わっていた私は、了解をえて自分の屋台の場所を決めて、鉄板などを降し準備を開始した。最初は心配したが、徐々に参加者が増えてきて、昼過ぎには、お客様を迎える準備もできてきた。
 午後8時ごろまで終始降り続く雨の中だったが、祭りは予定通り進行し、多くの方が参加してくれた。「英語で遊ぼう」のイベントも子供たちの歓声の中で2度ほど開催され、「焼きそば」もほぼ完売することができた。
 地元に長く根付く、伝統行事は地域にはかけがえのないもので、主催者側、お客様を問わず皆で継続して盛り上げていかなければと強く感じた。

2019年07月12日