◎第385回 中山間ビジネス(令和元年10月25日)

持続可能な森作りから

『生涯活躍のまち』へ取り組みも

 高知の住まい(会社の所在地でもある)香美市土佐山田から車で5分程のところに、県立大学である高知工科大学があり、しばしば訪れている。
 先日、公開講座「地域活性化システム論」が1日開催されるというので、弊社にインターンシップで来られている、高知大学農林海洋学部の1年生であるUさんを誘って参加した。
 テーマは、日本の各地、特に中山間地区で高齢化、人口減少が進む中で、地域を活性化する策はないか、という内容だった。
 はじめに、政府の取り組みについて、内閣府の参事官K氏が講演し、民間の専門家であるS氏が、「中山間ビジネスと地方創生」をテーマに各地の取り組み状況や具体的な成功事例など紹介し、非常に参考になった。
 参加している高校生や大学生に向かっては、『各自の進路に関して、ただ単に企業に就職するだけの目標ではなく、学生の大事な時期に、自分の将来に関してさまざまな思考の中から、独自性のあるビジネス・プランを生み出す努力をして欲しい』という強いメッセージが届けられた。
 続いて、高知県梼原町松原地区において「持続な可能な中山間地域づくり」に取組んでいる四万十森林管理署梼原森林事務所森林官のM氏が、「84%が森林で、日本の都道府県の中で最も森林比率の高い高知県において、どのように持続可能な森林を守るか」について説明した。
 森林を大切に守り、間伐や的確な植林を継続することで山が健康になり、河川を通じて山の豊かな栄養を海に運ぶことによって、沿岸に多くのプランクトンが育ち、それを小魚が育てば、豊かな漁業資源  が絶えることなく供給される。
 気仙沼の美味しいカキが大震災で全滅した時に、流木や流れた筏などを目の前にして、養殖を諦めようとしたが、海中を調べたら、カキが食べきれないほどの餌があることがわかった。従来から川上の植林をいとわず続けていたこと、その努力が無駄になることなく、海は守られていたことを知り、勇気づけられ、急ピッチで復旧に漕ぎつけた。養殖漁業家の畠山重篤氏は、この結びの言葉に「森は海の恋人」と言われた。
 講座ではっさらに、中山間地域である四万十川中流域で、地元の産物を使った、ほかの地域では真似のできない栗の加工品や、緑茶、香り豊かな米、天然アユなどの生産に、地元の生産者者とともに取り組んでいる、株式会社四万十ドラマのK事業課長からの具体的な取り組みの発表があった。
 これに関連して、地元の野菜などの生産者であるお母さん方がチームを作り、それぞれが栽培した野菜等を利用して、株式会社十和おかみさん市を運営し、まさに六次産業に取組んでいる内容が報告された。
 最後に発表者全員と、高知工科大学経済・マネージメント学部のM講師がファシリテーターとなりパネル・ディスカッションが活発に進められた。
 中山間地域ビジネスが数多く取り組まれれば、仕事がなくて都会へ出てしまう若者たちをUターンさせることもできるし、潜在する新たな労働力を活用し、活性化することも可能であると、方向付けることができるに違いない。
 私も最後に少々時間を頂いて、現在取り組んでいるCCRCの活動について話をした。最近はアクティブなシニアだけでなく、多世代を対象にした「生涯活躍のまち」への取り組みを中山間地区の皆さんととともに進めようとしていることや、高知県でも地方創生の活動の一環でシニアの移住定住にも取り組んでいることを、学生の皆さんにお伝えできた。

2019年10月25日