◎第387回 空き家対策(令和元年11月29日)

共通の課題として

地域で管理する取り組みを

 日本の人口減少、高齢化・少子化が進む中で、地方では耕作放棄地と同様、空き家の対策も急がれる。空き家がたくさんあると言ても、不動産売買・賃貸契約に至る前に、所有者や権利者による法的手続きが整わなければ実際に住めるようにはならないし、所有者の家具や荷物、仏壇なども処理しなければならない。さらに、古民家などの場合等、かなりのリフォームや修理など、手を入れなければ住めない住宅も多く、修理するより建て直した方が、先行きを考えると安上がりのケースもある。
 最近人口が70万人を割り込んだ高知県の状況では、住宅戸数はおよそ34万戸、空き家は5.8万戸で、約17%が空き家ということになる。これでも都道府県の中では、中ほどに位置するようである。全国的に地方は大変な状況と言える。
 空き家対策に関しては、高知県では土木部住宅課が窓口となり「空き家再生・活用促進専門家グループ」が最近立ち上がっている。取り組みの内容は、「市町村が実施する空き家の調査、実態の把握に関する業務の支援」。「空き家を再生・活用するための改修設計および改修工事に関する技術的な業務支援」「再生した空き家の管理・運営に関する専門的な業務の支援」「利用者側と提供者側双方の要望を踏まえた再生計画の策定の支援」「空き家を活用した移住を促進するための業務の支援」などが挙げられる。
 最近、何人かの知り合いから、「家屋敷、山林、田畑も含めて何方かに差し上げたい」とか、「老人ホームに入居するので住宅を譲りたい」などの相談を受けた。
 私が現在住んでいる香美市土佐山田の家は、最近まで私の父の一番下の弟が夫婦ですんでいて、元気なころは畑や田圃を耕し、乳牛を飼っていた。8年ほど前に夫婦とも高齢と持病で亡くなり、空き家になった。私は故郷を何とか残したいと、妻と息子(大学生)を東京に残し、6年前に移り住んだ。
 私の記憶では、60年前の学生の頃、この故郷へ父と一緒に戻ると、近所の知り合いが用水で洗濯などをしていて、良く帰ってきたと、皆が歓迎してくれた。それが今では、道行く人も普段は見かけず、隣の家の親戚も今では年配の従弟の連れ合いが1人で住んでいる。並びの家々には、空き家も散見される。
 私は現在、首都圏のシニアの高知への移住促進の仕事にも取り組んでいるが、それには移住しやすい環境を整えることが大切と考えている。空き家の活用は重要なテーマでもある。高知県の各自治体の移住に関する取り組みと、それに関連する民間団体との交流も大切な活動なので、共通の課題として空き家の活用を進めていきたい。
 昔は、地域住民との交流は、なくてはならない生活の基盤であったと思われるが、最近では田舎でも、隣人との交流がほとんどない場合も増えている。
 今後は、それぞれの地域の隣人との共通課題として、地域で空き家を管理していく仕組みに取り組んでいくことにしてはどうかと考えている。地域は過疎になりつつあるが、隣人で空き家を管理・活用する課題に取り組むことで、地域力を上げていくことにはならないだろうか。住みやすい協働の社会づくりに一歩踏み込めないだろうか。

2019年11月29日