地元産品販売商談会

高知県でも、官民一体で、新たな商品開発を推進しながら販売先への商談の機会を数多く開催できるよう取り組んでいる。

一次産業が中心の高知県はどうしたら付加価値が付けられるかと、特に食品の加工に関して力を入れている。

高知県には産業振興推進部の中に、地産地商・外商課が担当で更には、関連で、一般社団法人高知県地産外商公社も民間の立場で積極的に販売活動を行っている。

食品の販売には、賞味期限や、添加物、成分の表示、HACCP認証、等々に関して十分な対応が当然必要で、これらに関しても、専門家のアドバイス等を受けられる環境整備も進められている。

実際に商品が販売開始されても、在庫や出荷手続き、運送手配等に関して十分な準備が必要になる。

生鮮食品とは違って、加工食品の販売には、小売店(デパート、スーパー、コンビニ)との間に卸業者(商社)が介在することが多く、直接販売と違って、中間の手数料を十分考慮に入れて、値決めをする必要がある。

直接販売の場合は八掛け程度で販売できるケースもあるが、卸問屋経由の場合は六掛けで商品を卸さなければ取扱ってもらえない場合が多い。

6月に開催された、高知市内のホテルでの高知県産品商談会には、出品者が116社、各地から参加していただいているバイヤーが60社、それぞれが、お互いに限られた時間の中で効率的な商談が進められた。

然しながら、販売の掛け率を始め、出荷単位や賞味期限等に関して細部の打ち合わせと契約を交わすには、後日、継続した交渉が必要になる。

私どもも、会場にブースを設けて、加工品2品(にんにくやきにく極めたれ、ネギ味噌)を展示し、来場のお客様に商品を紹介し、味見をもして頂いてセールスに勤め、更には数社の個別商談にも対応させていただきました。

将来、取引の可能性を感じた場合は、サンプルを差し上げたりもして、宣伝に努めました。

出展している中には、日頃から親しくさせていただいている生産者も多く、時間の合間を見ては、お互いの商品に関して意見を出し合うケースも多く、そういった中から、今後の商品作りの上でコラボ事業者を発見することもできる。

一日の商談会を有効に活用し、実績に結びつけるかを常に考えるわけですが、ビジネスはこちらの思惑通りに行くケースは少なく、むしろ、偶然に此方が望むような契約が飛び込むケースも多いと考えられる。

そう思うと、直接的に成果かを望むよりも、多くの来場者、関係先に良い印象を持ってもらうことが大切と考えています。

従って、あらゆる機会をとらえて、多くの方々に認識していただくことが、次のステップに繋がると期待しています。

今回、バイヤーとのアポイントによる面談は三社のみでしたが、勿論、商品そのものに関しても説明させていただきましたが、限られた面談時間の中で、多くの時間を日常の私どもの取組に関して説明させていただきました。

即ち、農業の六次産業化の取組や、専門の、高知を起点とした物流・流通の仕組み構築への取組、香港への輸出の状況、更には高知県への移住者の誘致事業に関して等まで説明させてもらいました。

令和元年6月5日 鍵山 武男

新商品開発

農業の六次産業化を目指している、高知県の農業法人「株式会社土佐龍馬の里」は創業して2年半であるが、最初に開始した仕事は、高知県の農産物を首都圏に販売する仕組みを構築することにあり、現在も物量、商品別や温度管理の物流を含め試行錯誤しながら取り組んでいる。

高知県から関東圏に販売する場合の物流は現状ではトラック輸送に絞られるが、鉄道の五トンコンテナの活用も視野に入れている。

物流・流通で生産者の負担を軽くし、他県との競争に少しでも協力できればと取り組んでいる。

現状では距離の遠い九州のほうが相対的に首都圏への運賃は安くなっている。

これは、農産物の物流量の違い等にあると考えられる。

三次産業から取り組み始めたが、その後、地元の農家の奥さんが長年工夫して作っていた、地元のニンニクを多量に入れた「焼き肉のたれ」人気との話を聞き、相談して、レシピを教えていただき、知り合いの加工会社に依頼して生産し、販売を開始した。

高知県内の販売店や道の駅で売れ始め、最近は銀座のアンテナショップにも置いてもらっている。

従って二次産業もスタートしたわけで、後は、直接生産即ち、農産物の栽培を昨年2月から、若手の社員2名を雇用して開始した。

現在は青ネギの生産を約7反の畑を使用して加工用として出荷を続けている。

この青ネギは、一度栽培すると、年4回ほど収穫できるので、安定して出荷する計画ですが、夏場は高知の場合暑さが厳しく生育が遅くなることと、害虫や病気が発生しやすく、消毒等で手がかかるようになる。

これで、一次産業から二次、三次産業と揃ったので、今後はそれぞれの内容を充実させ、売り上げと利益を向上させたいと念じている。

その一つの取組として、現在の自前で販売している、青ネギと焼き肉のたれを活用して何か新商品が開発できないかと考えている。

高知の中華料理のシェフや何人かにアドバイスで、ネギ油等を試験的に自社で作ってみたが販売先等の目途も明確ではないため途中で断念した。

高知県でも新商品を発表できる機会もあるので、現状取組んでいるのが、青ネギをふんだんに使った、「焼きそば」に取り組もうと考えている。

試してみたところ、当社の焼き肉のたれ「にんにくやきにく極めたれ」
と塩コショウの味付けで、知り合いの高知の海で取れた「いわし」から作るオイル・サーディンを入れて作り上げると絶妙な味になる。

当初は、各種イベントで販売し、その後販売先の見通しがついた段階でパッケージ化を検討することにしている。

この商品の販売が伸びれば、栽培している「青ネギとたれ」が生かされることになる。

さらに評判がよくなれば、
土佐が誇る「ハチキンちどり」や「牛肉」「ジビエ」等と種類を増やしていきたい。

今後は、高知県へも働きかけて、生産者が共同で使用できる、加工工場、包装工場、冷蔵冷凍倉庫、物流センター等々を完備すれば、新商品を開発しながら、各生産者とのコラボで、
B級グルメを開発し、国内販売は勿論、香港等への輸出にも展開していければと考えている。

効率的な物流・流通を考えれば、どこかに集約して、商品開発と加工商品が身近で開発・生産されれば、包装・輸送・物流・流通が一元化できるに違いない。

何とか、国際的にも注目される安心・安全で美味な食品の加工拠点ができないかと妄想している。

平成28年10月12日 鍵山 武男

地球温暖化

最近、高知で農業法人を営んでいるせいか、最近の気候変動が気になって、落ち着かない。

日本でも彼方こちらで、豪雨や、季節外れの高温現象等が起こり、大きな被害をもたらしている。

農作物への影響も大きく、成長が早まったり、殆ど予定した作物が生育しなかったり、
予測ができない状況が起きている。

温暖化による世界で起きている現象に一部を上げると、2015年5月には、インドで広い範囲で42℃以上の高温で、2,200人以上が死亡している。

6月にはパキスタン、サッカルで48℃、6月22日、カラチで45℃、2,000人が死亡。

7月には、コルドバで43℃、マドリッドで、39.7℃、ジュネーブで39.7℃(観測史上最高)、ドイツ南部キッチンゲンで40.3℃(1881年以来最高)イギリスで38℃を突破。

イラン、クウエート近くで46.1℃。

アラスカでは、熱波で森林火災(125万エーカー以上)。

2015年は観測記録のある1880年以降、最も暑い年になった。

2014年より世界の平均気温は0.13℃高かったとのこと。

2015年の世界の平均気温は19世紀末に比べて1℃上昇したとされ、地球温暖化に加えてエルニーニョが猛暑に寄与したらしい。

世界の平均気温の上昇を2℃以下に抑制するためには、2020年に削減を開始すると、年率3.2%削減が必要で、2032年にスタートすると、削減率は倍になる。

ある気候ターゲットを実現しようとする時、削減開始年を遅らせると削減率は大きくなる。

経済モデルでは年間削減率は5%が限度であり、1.5℃ターゲットは2012年以前に達成不能、2℃ターゲツトは2027年度以降は達成不能になるとのこと。

平均気温の上昇はCO2の累積排出量に比例する。

COP21パリ協定は、第21回寄港変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて、2015年12月12日に締結された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)、2020年以降の地球温暖化対策を定めている。

徐々に地球温暖化による影響を懸念する動きが広まってきているが、具体的な取り組みが進むかどうか大変心配なところである。

現実には、恐るべき速さで北極、南極の氷床が融解している。

即ち年間4,500億トン(120立方マイル)の氷が失われつつある。

また、南極半島では世界平均の数倍の速度で温暖化が進行しているらしい。

島国で、多くの国々の中でも恵まれた環境に位置する日本ですが、同じ地球に住む国々と歩調をあわせ、いや率先して地球環境を守る役割があると考えます。

物流関係も極力無駄をなくし、CO2の排出量を削減することに積極的な取り組みが望まれます。

平成28年3月14日 鍵山 武男

生鮮農産物の通信販売

農産物の生産者が販売する方法にはどのような形態があるか考えてみた。

農産物栽培の規模や、農産物の違い、地域や経営形態により様々に存在するに違いない。

主なものには、地元の農業協同組合、市場、地元のスーパーや産直市、道の駅等が考えられる。

地元の高知県の生産者を見てみると、日持ちのする、文旦等の果物のかなりの量は生産者直で、ネット販売(自社のホームページ)している。

最初は少量でも口コミで徐々に客先を増やし、数万件の顧客リストを持っている生産者もいる。

こうなると、殆どの販売は個人通販で賄っているようだ。

心配なのは季節の変動や、天候により、商品の品質にバラッキが出ることで、しばしば顧客のクレームを受けることになる。

その辺は、固定客には十分なフォローが必要のようだ。

通販の魅力は生産者が直接、消費者に販売できることで、通常の取引の場合に介在する、市場、仲卸、問屋、小売等を通さないことで、中間マージンを削減できることにある。

しかしながら、個別に出荷する作業、梱包等に関しては、他の出荷に比べて、手間とコストが掛かることはいうまでもない。

そのほかにも受注業務等に関しての業務量も増大する。

そこで、これらの通販に関してのシステム設計に関して、数多くの会社が売り込みをしてくるが、それなりにシステムの開発、維持管理に関しても考慮しておく必要がある。

生鮮農産物の直販に関しては、徐々に固定客が育っていく中で、固定客からギフトの注文が入り、その口コミから新規顧客が増えていくのだろう。

地元の生産者の中には、オーガニックの農産物に集中して、固定客を増やしているY氏がいるが、彼は、欠かさず、毎土曜日に開催するオーガニック・マーケットにも出店して、クリック&モルタルの販売手法を実践している。

当方にも、大手旅行会社の通販誌に出店しないかの相談もあるが、直販にかかる手間は同じで、自身のサイトの運営の必要がない分は助かるが、かなりのマージンを支払わなければならないことを考えると、商売としてはかなり厳しくなり、あまりメリットが期待できない。

従って、現状では直接生産している品目も少なく、他の生産者からのものを集めて、サイトを立ち上げてもコストが掛かる割には利益が出ないと予測している。

従って、焦らず、徐々に生産品目を増やしながら体質を強化して、できるだけ早い時期に、生鮮野菜を中心にした通信販売を立ち上げたいと模索している。

他の地域で成功している例には、地域の生産者が纏まって、通販を立ち上げて成功している例もあるようだ。

生鮮野菜を中心に、地元の食材を使った、加工食品も含めて、消費者に喜ばれる人気の通販を立ち上げるべく、着実に準備を始めたい。

この際、やはり問題になるのが、大消費地、首都圏への宅配運賃の負担が内容物に比して梱包諸費用も含めるとかなりの額になるので、
固定客に関しては折りたたみ式の通い箱の開発も検討しなければならない。

いずれにしても、安心安全な農産物を消費者に直売できるよう、努力と経験を重ねて行かなければならないし。

新たに物流改革にも焦点を合わせたい。

平成28年7月14日 鍵山 武男

日本の食は安全なのか?

日本の食品は安心・安全と言われてきたが、本当にそうなのか?色々調べてみると不安な情報を確認することができる。

例えば、農薬使用量が世界のトップは日本らしい、海外で使用を禁止されている農薬も数多く使用され、日本のネオニコチノイド系農薬の使用量では単位面積当たりでは米国の7倍、フランスの2.5倍と世界一の数値になっています。

日本では通常、収穫された農産物は一度洗浄された後に検査されているため、農薬使用量が減らないというのが実態のようです。

中国の食品は危険と危惧されている人は多くいますが、実際は中国よりも1ha当たりの農薬使用量は多く、各都道府県で発表されている残留農薬違反は東日本だけで、中国野菜の違反数を超えているのが現状とのこと。

国家衛生監督庁(ANVISA)が発表したレポートで、日本国内の果物や野菜等に含まれる残留農薬が1628サンプルのうち36パーセントにあたる589品で検出され、その中の520品で農業用には許可されていない複数の農薬が含まれえたことが判明したとのこと。

化学肥料が農薬と同様に危険性があるということは明確になっており、それと同時に化学肥料による被害報告も激増しているようです。

農産物を大量に、見た目の良いものに栽培したいという生産者を化学肥料メーカーや販売事業者がバックアップしてきたために、結果的に消費者に害のある商品を提供することになる。

消費者には知らず知らずの間に体内に有毒な物質を溜め込むことで、多くの弊害が出てくるに違いない。

現在、農産物の生産者や流通企業においても、危機感を感じてきており、有機農業に関心が高まりつつある。

しかし現状では農産物の中で、有機栽培で生産されているものは全体の数パーセントにすぎないといわれている。

いったん農薬や化学肥料漬けになった農地はそう簡単に元の自然には戻らないし、農家にとっては雑草との戦いもある。

何十年も前から、有機栽培、自然食に限られた方々が関心を持たれていたが、最近では多くの消費者が有機栽培の作物、すなわちオーガニックに関心が高まり、首都圏ではオーガニック商品のみを販売する専門のスーパー等が関心を呼んでいる。

高知県でも県内の生産者の組織で、年末にはオーガニックフェスタ等の開催を計画し、首都圏のバイヤーを招待したり、有機栽培の生産者を増やすための指導や勉強会を、地元のスーパー等と協同して取り組み始めている。

今後は、有機栽培の専門の輸送・流通の仕組みも構築しなければならない。

平成28年8月19日 鍵山 武男

農業を取巻く基準・規範・法律

農業を事業として経営していくために遵守すべき法律は、様々あります。

法の下で管理された、日本の農産物等は、世界に安全・安心なものとして、信頼されているのだろうか。

各国とも、自国に輸入する食品に関しては、それなりの基準で、水際で厳しく管理しているようだ。

現在でも、原発の事故の関係で、東北からの食糧品の輸出に関しては厳しい状況が続いている。

日本も規定に則り水際での管理は厳しく行っているので、残留農薬が規定以上の数値のため輸入できないものが出てきたりするケースはあるようだ。

日本の農産物は、先にあげた各種法により守られているのか、市場に出回る農産物に関しても安心・安全とされているが、基準内といえども、多くの農産物は、消毒や、化学肥料の使用によって少なからず影響を受けている。

生産効率を上げるためには、有機無農薬の生産方式では、価格的に対応できず、せいぜい、減農薬で栽培するのが精いっぱいであろう。

それでも、農家が自分の処で消費する作物には、家族の健康を気遣い、無農薬で栽培するケースも多い。

地元で頑張る中堅の或る農業法人は徹底して有機栽培にこだわって栽培していて、それなりの評判で、特定の顧客を獲得している。

しかしながら、苦労も多く、有機栽培のため、害虫や病気が発生して作物自体が収穫できないばかりか、周りの畑にも、害虫や病気が広がり、近隣から締め出されるケースもある。

食品のアレルギー等に敏感な方々は、無農薬やオーガニックの食品を求めて、それなりに気を配っておられるが、一般的には、それほど気にかけずに、新鮮さや、味を頼りに買い求めるケースが殆どである。

量販店のバイヤーの方に、売り場で無農薬、オーガニックの商品を集めて販売したらと勧めたこともあったが、それにこだわる消費者はマイナーなのか、
あまり乗気にならなかった。

日本で買い求める食品に関しては、通常、我々は安心して買い求め、消費している方が大半であるが、グローバルな世界が進展しているなかでは、どこの地域にいても、常に、世界中からの食料品を口に入れることになる。

世界のどの地域の方も安心して食べられる食品かどうかが判断できる基準は必要であろう。

日本の有機JAS認定もその一つといえるが、
これはグローバル・スタンダードとは言えないわけで、最近、日本の生産者が気にし始めたのがG-GAP(グローバルギャップ)即ち、海外での農業生産管理基準である。

これは、農業のISOに似たもののようで、農業生産のトレーサビリティーを管理するもののようだ。

どこまで、これが広がるかは推測しがたいが、世界の大手の小売業態が、GAPに関して取り組み始めていることを考えると、農業生産者としても関心を持たざるを得ない状況になりつつある。

特に2020年東京オリンピックが開催されることになって、多くの国々から来られる外国人に日本の食品の安全性を明示するにはGAPしかないのではと考え始めている。

生産から販売までの過程で、流通・物流も絡んでくるに違いない。

平成28年4月12日 鍵山 武男